Volume#12 Last Chance?

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ラスト・チャンス?
レム・コールハース(Rem Koolhaas)


私たちは終わりの時代に生きている。それは新たな始まりの時代ではない。
世界からもう一度やり直せる場所がなくなりつつある...


 
汚されていないキャンバスのように、ガルフ沿いの砂と海は、新しいアイデンティティがそこに記される究極のタブラ・ラサを与えてくれる。ヤシ、世界地図、文化資本、財界の中心、スポーツシティ...


しかし、1980年代のシンガポールや1990年代の中国のように、ガルフの最近の発展、とりわけドバイのそれは嘲笑にあっている。「ウォルト・ディズニーがアルバート・スピアに会ったようなもんだ」というマイク・デイヴィスのののしりは、ウィリアム・ギブソンが「死刑つきのディズニーランド」として15年前のシンガポールを描写したことをそのまま繰り返している。
ディズニー・ファトワーの再利用は、ガルフ・シティに関してというよりも、西洋の批評的想像力のよどみに関して多くを語る。

 
今日批評的であるということは、あなたが自らの持ち場を巡回している間に出会い損ねたアイデアが輸出されること、そしてあなたが殺しそびれたドラゴンが輸出されること、を後悔することだ。そんな批評家が嘆く大多数の発展が始まり、それは彼ら自身の国においても常態になった。

 
近代化の必然性を建築のなかで認識したり考え抜いたりできなくなったことによる悲劇的な結果は、ひとつには生み出されるものに対する永続的な失望に沈んだことば。またひとつには、好意から出たものの瀕死の状態にあるオルタナティヴとしてのノスタルジックな万能薬を終わりなく再利用するようになったことである。


とりわけ酷なのは、最も不快な批評はいまだ判断装置をコントロールする古い文化から来ているということだ。生産の震央は地球のもう一方の果てへと移ってしまったというのに。

 
望むまま現在進行中のガルフの変革を眺めることは可能なのだろうか? 地域まるごとの運命を変えようとする並外れた試みとして? これらの現象に対する建設的な批評を提示することは可能なのだろうか? これに対する批評的関与のようなものはあるのだろうか?
 

(たとえば労働者の宿泊設備問題を対処するために三次元的な法制定を、という議論が現在あるが、それは逆にアラブでの最低限の生活者を規定してそれを大量に生みだすだろう)

 
ガルフはただ自らを形成し直しているだけではない。それは世界を形成し直しているのだ。かの地の企業家たちはモダニズムがかつて一度も到達しなかった場所へ到達しつつある... おそらくガルフを真剣に取り上げるのに有無を言わさぬ一番の理由とはこういうことだ。つまりその都市の出現モデルが、西洋のモロッコから、トルコやアゼルバイジャンを経由して東洋の中国にまで亘る、アーキ=テクチュアルな視界が薄れた広大な区域で増加している、ということだ。このシルク・ベルトの各国において、ガルフのディベロッパーは「私たち」の注意を完全にすり抜けるほどのスケールで仕事をしているのである。
 

この急に出現した、新種のアーバニズムを輸出する―モダニズムのかつてのミッションに免疫があり、あるいはそれに無視された場所への輸出だ―キャンペーンは、アーバニズムのために新たな青写真をまとめる最後の機会かもしれない。建築はこのラストチャンスをつかむのだろうか?
 


下訳/さかきばら

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