Volume#13 Editorial

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エディトリアル
ジェフリー・イナバ(Jeffrey Inaba)
 

僕たちの分野、そしてたぶんあらゆる分野は野心によってその輪郭が浮かび上がってくる。自らを知るためには野心を知らなければならない。でも野心はとても じゃないがシンプルなんてものではない。それは決して簡単なようにも、単一の動因であるようにも見えない。むしろそれは、しばしば手段が目的と取り違えら れてしまうような相互干渉する緒力の1セットなんだ。野心を取り上げる今号のヴォリュームでは、見当違いな目的の風景となったものの下準備的な見取り図を提供しよう。


野心は私利を得るためのドライブじゃない。エリザベス・ディラーは彼女の寄稿で、僕たちに「メディアジェニック」ということを思い出させてくれる。権力や名声を獲得するためのむきだしの決意として野心を考えるなんてリダクティブなこ となんだ、と。野心を持つということは、特定のねらいを持つということでもある。ところがこのねらいは誰にもわからない。野心的な人はたかだか望まれた立 場や身分を勝ち取りたい、という目的くらいしか明らかにしない。それを手段として何をなすか、ではない。大統領になりたいという欲望を声高に叫ぶ人はいる だろうけど、それが現実のものとなったときに彼らが何をするのかなんて一体誰に分かるのだろうか。


おそらく難しいのは、有名になりたいとか、尊敬されたいとか、権力者の立場につきたいとか、彼あるいは彼女が何をめざすつもりなのかということに議論をシフトする何者かを、何がドライブしているのかを見定めることなんだ。野心的な建築家が自らのパブリックなペルソナを洗練するために持つあ らゆるスキルやアシスタントがあれば、野心の影響へと引き込まれていくのは簡単だ。どんな建築家の実績にもついてくる興奮したざわつきにかかれば、そのレ ベルの権力や名声を熱望することが魅力的なものに思えてくる。でもひとつ言っておこう。権力や名声を欲することは、建築はそれ以上のものを与えるという点 を見落とすことになる。一例を出すと、それは「獲得するためには危ない橋を渡らなければならない。」これはディラーも示唆するとおり。事実この野心の神話は、目的ねらいそのものに取って代わり、それが機能する分野を徹底的に貫いているのであって、 それをマーク・ヴィグリーは「名声の変遷 Mutations of Fame」で説明している。セレブリティと連絡を取りあっているということは、アカデミーの原則を構成し、人員配置を規定し、知識の転送、そして学生の野心を構成する――建築事務所の組織を反射する、あらゆるものを独占する経済なのだ。


要するに、今号のヴォリュームは権力と名声とを超えて僕たちの野心を広げていこうと提案するものじゃない。その代わり、その分野が両者以上のものを抱える結果、僕たちの野心がどれほど進んでいるかを精査する。アレハンドロ・ザエラ・ポロやBjarke Ingelsはそれぞれのインタヴューのなかで、獲 得する目的としてではなく手段として権力と有名性を語る。どちらも各々の方法で、それらが新しく利用可能になったルートであることを語っているし、その中 を泳ぐことなしに今日の建築家がよい(あるいは「スーパークールな」)建物を実現することは不可能だろうということを議論している。「The Knowlegde」のなかで、ケラー・エスターリングは、権力と有名性がギブ&テイクのフィードバックループへアクセスを与えてくれると見ている。建築 家は有名人として知識を与える。その代わりに政治的影響の力学に関する情報をいただく。ここ数年、野心的な建築家が戦術を洗練するためにこの情報を利用し、より大胆なプロジェクトへと挑んでいく姿を僕たちは見てきた。言い換えれば、権力と有名性は人の手段を強化する源なんだ。さらに、それらは建築家に知識人として振舞うことを許す。権力者あるいは有名人という立場に立つことで、建築家は知識を共有獲得する。それは、よりよく政治的に策動するためのみならず、僕らの分野の動きが公共の場に起こす現実的な帰結に関して情報を収集するためでもある。野心的な人がこの知識でもって何をなすかなんて誰が知ろうか。でも僕たちは君が今号のヴォリューム「野心」を読むなかで、情報に基づく目的感覚を共有しはじめてくれることを期待している。
 
 

下訳/さかきばら

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